破産管財人とは?役割・業務内容について


自己破産の申し立てにおいて、裁判所が一定の調査や管理が必要と見なした場合、裁判所のサポート的役割を担う破産管財人が選任されます。
破産管財人は、破産手続きを進めるにあたって、破産者と債権者の間に立って利害調整を行い、裁判所への手続きをスムーズに運ぶための代理人として業務を請け負います。

破産管財人とは?


破産管財人は、破産法に基づき破産財団に属する財産の調査・管理・換価処分・配当の業務を行う専門家です。
破産管財人は、破産者の財産をできるだけ換価処分し債権者への配当へと促すことがおもな業務目的となります。
破産管財人の選任は裁判所が認めた者とし、破産者と債権者との中立な立場で業務遂行されることが求められます。

※用語の補足
・破産法:倒産法の中の基本であり破産手続きの流れなどを規定した法律。
・破産財団:債権者に配当するための破産者の財産
・破産:経済的に破綻すること
・管財:財産・財務を管理すること
・破産者:債務者。お金を返す義務がある人
・債権者:お金を返してもらう権利がある人
・換価処分:破産者の資産を現金化すること
・配当:破産者の財産を換価処分し,債権者に分配する手続き

破産管財人の条件


破産管財人には以下のような条件の者が選任されます。

●弁護士であること
破産法においては有資格者であることは記されていませんが、弁護士以外が選任されることは稀です。

●知識と経験があること
専門性の高い知識と実績が必要となるため、経験年数の多い弁護士の有資格者が適任となります。

●研修を受けていること
破産管財人になる前には、地方裁判所や弁護士会で行っている破産管財人研修を受けることが推奨されます。破産管財人研修では経験と実績ある弁護士が講師となり若手弁護士向けに、経験談の共有や知識向上のための場を設けています。

●裁判所の選任であること
裁判所は、破産者の財産の調査や配当等が必要だと判断した場合、免責許可するかどうかを含めて、破産者の審査のために破産管財人を選任し業務遂行の権利を与えます。
通常は、裁判所で破産手続開始の申し立てが受け入れられた際に、破産管財人が選定され、破産手続き開始と同時に破産管財人は正式に業務を始めます。

破産管財人が選任されるケースとは?


裁判所に破産の申し立てを行った場合には3種類の手続きの進め方があります。

1.同時廃止
2.管財事件
3.少額管財

以上の3種類の手続きの中で破産管理人が選任されのは、2.管財事件と3.少額管財のケースとなります。
1.同時廃止の場合は、破産者の所有する財産から配当が不可能であるため破産管理人は選任されません。

破産管財人の役割


破産者と債権者の双方の代理人として、両者の利益を生み出すことを目指します。
債権者への配当業務と、破産者の生活保証に関するサポートを行い、公正な立場での役割が重要となります。

破産管財人の主な業務


破産管理人の主な業務は多岐にわたり主な内容は以下の通りとなります

●破産者の財産を調査・管理・換価処分・配当
債権者に配当することを前提に破産者の持っている債務を調査し、換価処分できる財産を金銭に代えることを行います。破産者の財産を処分する権利は破産管財人にあり、破産手続き開始とともに、債権者は破産管財人を通して配当を受けることになります。

※換価処分の対象となる項目
(参考元:東京地裁の自己破産申立書の添付書類における資産項目)
・申立て時における33万円以上の現金
・預金貯金
・公的扶助の受給
・報酬・賃金(給料・賞与等)
・退職金請求権・退職慰労金
・貸付金・売掛金等
・積立金等(社内積立/財形貯蓄/事業保証金等)
・保険(生命保険/傷害保険/火災保険/自動車保険等)
・有価証券(手形・小切手/株式/社債)ゴルフ会員権等)
・自動車・バイク等
・過去5年間において購入価格が20万円以上の財産
・過去2年間に換価した評価額又は換価額が20万円以上の財産
・不動産(土地・建物・マンション等)
・相続財産
・事業設備、在庫品、什器備品等
・その他。破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産

●郵便物の確認
破産者宛てに届くすべての郵便物は、破産管財人宛てに転送されるようになります。破産者が隠し財産を所有していないか等を見落とさないようにするために破産管財人の調査の一環として裁判所がその権利を認めています。

●破産者の隠し財産の調査
破産手続きを行う前に仮に、破産者が財産を隠したり減らしたりした場合には、自己破産の申し立てがあっても免責不許可となってしまうため、破産者は借金を返済し続けなければなりません。また、詐欺破産罪(破産法265条)で起訴される可能性があります。破産管財人は、こういった違法行為を明らかにするために、財産隠しの調査を行います。
仮に財産隠しなどで債権者への配当が減ってしまうような状況になった場合、破産管財人の権利として、否認権を行使して元々あった財産を取り戻すことができます。

●免責許可の申し立てのための調査
破産者が債権者に対して債務を免れることが許可されることを免責許可と言います。自己破産申し立ての際に免責の許可を裁判所に申請します。破産者は免責許可決定を受けるための条件に習うことと裁判所に出頭し「免責審尋」が行われます。破産管財人は、破産者が免責許可を受けるために破産までの経緯や理由などについて調査をおこないます。

●債権者との情報共有
破産管財人は、債権者に対して破産者の財産の調査、配当までのプロセスなどについて現況報告するためのミーティングを定期的に行います。破産管財人は債権者の利益に繋がるような情報共有が必要となります。また、債権者の中でも労働債権者に対しては、情報共有の他に、労働者健康安全機構による未払い賃金立替払制度の活用法など、債権者が有利となる手続きなどを請け負う必要もあります。

●債権者への配当業務
破産者からの財産が回収できた場合、破産法に基ずく算出方法によって債権者に対して配当をを行います。破産管財人は、債権者から提出された債権額が正当であるか調査し債権額を確定し、破産者の財産回収した金銭を債権者に公平に配当します。

まとめ

破産管財人は、破産者と債権者との間で公正な立場で業務を行う役割を担います。
破産者側だけをサポートする弁護士とは異なり、裁判所に対して破産手続きを円滑に進めるために必要な業務を行う重要な役目を担っています。

この記事を書いたのは

山本昌一株式会社Shoichi代表取締役
山本 昌一
大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。
その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。

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